My life! after diagnosed with BC

アラガン社 ナトレル410とBIA-ALCL、インプラント再建のリスク

全然知らなかったが、6月7日に日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、形成外科学会、日本乳癌学会、日本美容外科学会の4学会から発表されていた。

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

日本乳癌学会

日本形成外科学会

日本国内で保険適用となっているアラガン社製品のテクスチャードインプラントが原因で、BIA-ALCL(ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)というリンパ腫が発生し、死亡者が出ているのだという。
アメリカの形成外科学会の発表では、世界で722例の発症例、21例の死亡例があった。日本でも9年前に入れたインプラントが原因の症例が1例あるそう。

皮肉なことに、現状では被膜硬縮を起こしにくいのでより良いとされている、表面がざらざらしたテクスチャードタイプ特有の発症で、つるつるしたスムースタイプのインプラントを使用して発症した患者は確認されていないのだそう。

4月初旬にフランスで使用禁止となり、5月にはシンガポールで販売停止、カナダとEUとロシア、南アフリカイスラエルでも使用は禁止となっていた。

もっと気になるのは、FDAが5月に「現時点では販売を停止すると結論付けるほどの証拠に合致していない」という発表をしていたのに、7月25日に乳房インプラントの一部製品を全販売地域を対象にリコールすると発表したということ。

希少がんと関連の乳房インプラント、全販売地域でリコール 米FDA :AFPBB News


これってアメリカ国内だけではなく、世界各国ということだろうか。一部製品というのがテクスチャードタイプだとすると、日本で保健認可されているナトレルも含まれる。
もちろん私の胸に入っているのもこのタイプ。

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現状では真っ先に禁止したフランスでも、予防的なインプラントの摘出は推奨されていない。しこりや腫れがないかのセルフチェックが推奨ということだが、リコールも発表されたし、やっぱり不安。

遅発性とされているのに、短期間で入れ替えになるエキスパンダーも対象というのも気になる。素材自体に問題があるのでは??とかんぐってしまう。

BIA-ALCL:
ブレストインプラント関連未分化大細胞型リンパ腫。3,800-30,000 人に1人と発生頻度の低い悪性腫瘍、インプラント周囲に形成される被膜組織から発生するT細胞性非ホジキンリンパ腫。BIA-ALCLの5年生存率は91%で、StageⅠで腫瘍・被膜が完全切除できれば治癒が期待でき、経過観察のみ、被膜や腫瘤を完全に切除できない場合や、リンパ節などへの転移があるstageⅡ-Ⅳでは化学療法・放射線が必要になる。

初期症状:
遅発性漿液腫(約80%)
腫瘤(約40%)
疼痛、腫脹、非対称性、被膜拘縮、潰瘍など
→手術後一定期間経過後(9年とか10年以上!)、インプラント周囲に貯留液が溜まったり被膜の腫瘤形成などで乳房が腫大すると疑い大

 

ALCL自体は整形外科用インプラント・歯科用インプラント・注入ポートなど、他の人工物埋入症例でも報告されているのでブレストインプラント特有というよりは、人工物挿入に伴うリスクと考える方がいいのかも?

診断は超音波検査・MRI 等で液体貯留、腫瘤の確認をすることから始まる。
ゆっくり進行し、現状では10年弱くらいで症状が出るとされている。定期的に診察してもらっていれば比較的安心だと思っていいのかなあ。
いや、LuminalAでおとなしくて増殖がゆっくりなタイプと言われたけど2年に一度の検査では35mmだと言われたし。そういうの、あてにならないかも?

BIA-ALCLの発生頻度はインプラントの出荷数から換算して、1/3,817-30,000程度、アメリカでの生涯罹患リスクは1/30,000 、オーストラリアおよびニュージーランドでは、1/1,000-1/10,000 、カナダはアラガンのBiocellで1/3,565、MentorのSiltexでは1/16,703と試算され、アジアでは日本での1例を含めて4 例のみ。地理的・遺伝的傾向がある可能性が示唆されているという。
‥地理的傾向ってなんだろう。n数が出ていないし、そもそものアジア圏への出荷数が少ないから4例しかない、もしくは美容整形目的などで使用されて、全例後追いできないとか、きちんと管理されていない・調査が行きわたっていないから「4例しか発見できていない」ということではないのだろうか。
発症の原因ははっきりしていないが、免疫反応・遺伝的要素・細菌感染などが疑われているそう。

しかもアラガンのBiocellの発生率が特異的に高い。ナトレル410ブレスト・インプラント、ナトレル ブレスト・インプラントテクスチャードタイプもこれに含まれる。
発症例573例中、84%がアラガン社製のインプラントで、FDAが世界各国で確認したBIA-ALCLによる33人の死亡例のうち、インプラントの種類が分かっている人は13人、そのうち12例がアラガン社製品。

‥やっぱり確率高すぎない?
そんなのが自分の体内に入っていると思うとやっぱり怖い。

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特異的にアラガンのテクスチャータイプで発症しているとはいえ、そもそも1/3,817-30,000は0.0262%-0.0033%。
野球場でホームランボールを掴む確率が0.026%なんだそう。そして日本人が80年間宝くじを買い続けて一等が当たる確率が0.00797%で、その半分以下の低い確率。心配しすぎるには十分低いと分かっている。そもそもBIA-ALCLは希少がんの扱いだし。

でも、いくら発症率が低いといっても、乳がんになる確率だってまだまだ低かったのに羅患した事を考えると「確率が低いからいいでしょ」と割り切ろうとしても、アタマでは分かっていてもやっぱり気にはなる。

インプラントが保険適用になってインプラント再建の症例がどんどん増え、無理がある温存より全摘の方がきれいに再建できるとか、金銭的にも施設数とかでもハードルが下がっているようだけど、これからどうなるのだろう。
日本でインプラント再建を希望する人はどうなるの??
私は温存は難しかったし、どうしても再建したくて、でも今は長く休めない&傷を作りたくなかったので選択は迷いなくインプラント一択だった。
たとえこの情報を事前に聞いていたとしても再建しただろうと思うが、そもそも流通しなくなってしまったら私と同じような思いの人はどうなるのだろう。。


形成主治医は毎回離れて全体を眺めるだけで、エコーの手配や触診はしない。それは乳腺主治医がやってくれているのを確認しているからだと思っていていいのかなあ。
自分の胸のインプラントの管理の事は、9月の形成で忘れずに聞かないと。