My life! after diagnosed with BC

乳がんにもPARP阻害薬

 

もうすぐもうすぐ、とあちらこちらで目にしていたオラパリブが7月2日に承認されて、日本初の遺伝性乳癌の治療薬となったそう。

適応:以下の3つを満たすこと
・BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性
・化学療法治療歴がある
・手術不能または再発乳癌

今まであまり気にしていなかったが、プラチナ製剤とよばれ、先行して卵巣がんには適応があり乳がんでも使用したかった薬だ。損傷したDNAを修復する酵素PARP(poly ADP ribose polymerase)の阻害剤。

作用機構(ものすごく簡単に)
DNA損傷は、PARPにより1重鎖を修復し、PARPが機能しない場合でも、BRCA1/2遺伝子が2重鎖DNAを修復するよう、2重の修復機能に守られている。
BRCA遺伝子も遺伝子の修復をするが、変異があると損傷したDNAの修復ができないのでDNAの複製がうまくいかずにがん化する確率が高くなる。
BRCAタンパク質がないがん細胞は二重鎖の修復作業ができず、がん細胞が破壊される。正常な細胞ではBRCAが二重鎖を修復するので正常細胞は生き残る。

BRCA1/2が機能しない細胞にPARP阻害薬を投与するとDNA修復機能が2種類とも働かなくなり細胞死が誘導される。BRCA遺伝子変異を持つ人のがん細胞ではBRCAによる修復ができず、PARP阻害薬を投与することでPARPによるDNAの修復作業が作用しないので細胞死が誘導される。BRCA変異がない場合はPARPで修復を阻害してもBRCAが修復してしまうのでがん細胞は細胞死に誘導されない‥という感じ?

BRCA変異について
(私の中では)TNBCに多いイメージだったが、BRCA遺伝子変異保有者は全乳癌の10%程度で、TNBCで20%、Luminalでも5%程度に変異があるそう。(臨床試験の対象者のデータなので日本人だけだと変わるのかも)

今回の承認は、BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移性乳癌患者が対象となるOlympiADの結果に基づくもの。OlympiAD試験では、オラパリブ群(1日2回300mgを経口投与)と医師選択化学療法群(カペシタビン、ビノレルビン もしくはエリブリンのいずれか1つ)を比較した結果、無増悪生存期間(PFS)についてのハザード比0.58(95%信頼区間:0.43-0.80)、p=0.0009で有意にオラパリブ群が良かった。また、全生存期間(OS)もオラパリブ群で良好な傾向が認められていた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/news/201807/556807.html


このOlympiaADは再発転移が対象ということだが、OlympiAとして術後療法としての試験も行われている。
作用秩序を考えると当然なのかもしれないが、TNBCだから効く訳ではなくBRCA変異があると効果がある。予防切除が弱く推奨となっていたりするがこの薬でむしろ変異がある方が治療成績が良くなるということなのだろうか。

 

この記事を気にしたのは、母の妹が私と同じ年で、母の従妹も40代で同じ病気にかかっていることから家族性を疑うべきか少し悩んだから。2度目に主治医の診察を受けた時同席していた母は遺伝性の心配をしていた。当時(と言っても2年も経っていない)はHBOCだとしても治療が変わるわけでもないし、私には出産予定(意志?)がないこと、姉妹もいないこと、母方の罹患者も二人ともLuminalだったこと等から遺伝カウンセリングも検査も受けなかった。

気にする母のために渡してくれたガイドブックに記載されていたリスクファクターは以下の4点。

①若年(おおむね40歳未満)で乳がんを発症している
②1人の人が両側の乳がんあるいは乳がんと卵巣がん(または卵管がん、腹膜がん)の両方を発症している
③父方あるいは母方家系のいずれか一方の血縁者に2人以上の乳がん患者あるいは
   乳がん患者と卵巣がん(または卵管がん、腹膜がん)患者の両方がいる
④男性乳がんを発症している
卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がんを発症している

私が該当するのは①と③。母の母方はがん死の人が多いが、卵巣がんの人は身内にいないらしいし私も血縁者もLuminalだったから大丈夫だろうと思った。今にして思うと、Luminalだから大丈夫、というのはどうしてそう思ったのだろう‥なにかで読んだのか?TNBCじゃないから、と言われたのだっただろうか??
でも主治医は気になるならカウンセリングを受けてみたら?といい、簡易で作成した家系図に記載しなかった祖母の姉妹の死因が気になると言い、後日調べた?と確認されたのだった。それを振り切って不要です!受ける気はありません!と言い切ったのだった。

事前にBRCA変異あり、となっていても日々の心配が増えるだけなのでその時点での選択に後悔はないが、今後PARP阻害剤の扱いが変わってくるならば自分の遺伝子変異は知っておきたい気もする。。BRCA変異があると卵巣がん乳がんのほかにも前立腺がん・すい臓がんも引き起こすとのこと。勉強不足だったが、前立腺膵臓はノーチェックだった。今度実家に帰った時に、母方に病歴がある人がいたか聞いてみよう。