My life! after diagnosed with BC

遅ればせながら、乳癌診療ガイドライン2018年版追補2019

旅行の事ばかり書いていたけれど、結構前に出ていたらしい、乳癌診療ガイドライン2018年版に対する2019年の追補。

改定がある場合は、各目次の上部に「改訂のポイント(2018年版 Ver.3)」とまとめてくれているので、どこが変わったのか必死に探さなくても大丈夫だった!

2018年に冊子が発行され、半年ごとに新しいデータや新薬承認に合わせてWEB版を改定している「乳癌診療ガイドライン2018年版[追補2019]」から、私に関わりそうなこと・興味深いなぁと思ったことの覚書。


①術後内分泌療法の至適治療期間について(CQ3)

2018年版ではTAM・AI共に10年を推奨だったのが、追補2019版ではTAM+TAM、TAM+AI、AI+AIに分け、閉経しているかどうかも含めて5年経った時点で次をどうするかを検討するという表現に変更された。

その理由は、「5年投与までのメリットは強いものがありますが、10年投与の上乗せ利益は非常に大きいわけではない」という表現をされていた。


‥止めてもいいの??

根拠となっているATLAS試験では、TAM10年投与で乳癌死亡率は2.8%減少。30人に一人程度なので、再発リスクがあまり高くなく、かつ副作用が非常に強い場合はリスクとベネフィットのバランスが悪いので、5年で止める選択肢も十分ありなのだという。
ここで例として挙げられていた「副作用が非常に強い」例は、
「ホットフラッシュで毎日、夜中に1回は汗をかいて着替えている人」だった。
30人弱に一人の死亡率なら10年継続の方がいいような気もするのだけど。


とはいえ、TAM5年+TAM5年は「特に術後10年以降では再発リスクを25%減少する効果を認めた」のだそう。晩期再発が気になると思えば延長が安心なのだろうか‥。
特にN0などの再発低リスク群は、そもそもの5年追加投与による再発・死亡リスクの絶対的リスク減少効果が大きくはないので、害とのバランスを十分に考慮して適応を判断すべきなのだそう。
ここでいう「害」は子宮体癌, 静脈血栓症・肺塞栓の発症が優位に上昇すること。

TAM5年+AI5年は、こちらもN0など再発低リスクは、AI5年追加投与による再発・死亡リスクの絶対的リスク減少効果が大きくはなく、害とのバランスを十分に考慮して適応を判断すべきとされている。
この場合の「害」は関節痛・骨粗鬆症の発症リスク上昇。時々目にする、骨折と心血管イベントは有意差なしとされていた。

AI5年+AI5年の場合は、リンパ節転移の個数が多い場合ほどAI5年追加投与による絶対的リスク減少効果が大きいことが示されているのに対し、AI10年投与は関節痛・骨粗鬆症だけではなく骨折のリスクも上昇するそう。なので、他と同じくN0はリスクとベネフィットのバランスをよく考慮するようにとのこと。5年のAIでは有意差なしでも、10年も続けると骨粗しょう症だけではなく骨折のリスクも上がってしまうという事‥。

これを読んでいてふと思い出したのは、LH-RH Agonistのこと。
子宮筋腫や内膜症などの治療や術前にもリュープリン注射をするようだけど、副作用が強いので点鼻薬が用意されていたり6カ月以上は原則使用しないのだそう。そんな治療を5年も継続する。
副作用の強さと生存率のバランスってこういうことなんだ。OSの改善が見込めるなら、ほかの治療では許容しない副作用でも我慢してね、副作用より生きている方が大事でしょ、という事なんだと思い知らされた。

3年前の今頃の私の悩みだったLH-RH Agonistについては、CQ1でLH-RHアゴニストとタモキシフェンの併用は前回の「弱く推奨」から「強く推奨」に変更されている。
2018年度版が出る前は2-3年程度が一般的だったようで、私もそのくらい我慢すれば終わらせられると思っていた。
でも、5年が有効というデータはガイドライン発表前から主治医の手元にはあったらしくて、5年と言われた時には5年先なんて考えられないくらい長くて、ただでさえ嫌なのに5年も続けるのかと拒否感全開でまた泣いた記憶が甦る。

強く推奨とはいえ、今回もやっぱりサブ解析の結果ではN0の場合は、LH-RHアゴニストによる再発抑制効果という益が害を上回るとはいえないということだけど。まあ、始めてしまったのだから大きな益があるのだと思っておこう。

LH-RH Agonistの期間については記載がない(様な気がする)けれど、2年後に5年で止めれると仮定して、その後閉経してしまっているとしたら悲しいと思っている。
そして、さらにもし閉経してしまっていたら、気になる副作用は以前に比べると多少なりとも楽になってきているのに、AIに代えてまた関節痛に悩まされるのかと思うと今から(ものすごーく)気が重かった。


続けても続けなくても、どちらでもいいと言われたら私は何を選ぶのだろう。
とはいえ、半年に一度変わっているのだから2年後の私の5年経過時にはまた違う推奨になっているのかもしれないけれど。


LH-RH AgonistとAIの組み合わせとE2濃度

TAMとの組み合わせは強い推奨のLH-RH Agonistを、保険適用外なので弱い推奨止まりのAIを併用する場合は、血中のエストロゲン値が下がっていない例が報告されているそうで、血清エストラジオール値を定期的に測定する必要があることをガイドラインに明記したのだそう。

半年ごとの血液検査項目にE2が入っているからちゃんとモニタリングしてくれているし大丈夫なのだろう。(なぜか報告書に数値の記載がないけれど)
AIと組み合わせるとLH-RH Agonistが効かないことがあるということなのだろうか、それともそもそもLH-RH Agonistが聞かない場合があるという事だろうか‥気になる。


③TAMよる子宮内膜癌(子宮体癌)のリスクについて

婦人科との関連で、十分なエビデンスがありこの先変わらない判断だろうというBQ(Background Question)15として独立項目になったとの事。

術後のTAM服用で、閉経後女性の子宮内膜がん(=子宮体がん)発症リスクは増加させるが、閉経前女性の子宮内膜がん発症リスクは増加させない

内服前から良性ポリープがあるような高リスクでない限りは、定期的な子宮体がん検診は推奨されないのだそう。
検査は不要と情報としては聞いていたこと&痛いという事なので子宮体がん検査は受けていなかったけれど、やっぱり文章化されると安心。

TAMを内服すると、子宮内膜が厚くなるので、婦人科医がTAM内服を知らない、あるいはTAMで子宮内膜を厚くなることを知らないと異常だと判断されてしまうリスクがある。(=TAM服用で子宮内膜が厚くなっていても異常ではない)

④乳房再建に脂肪注入も保険適用を目指す?

外科療法の中の乳房再建の総説に「近年、脂肪注入は本邦においても関心が高まっており、保険適用を目指す動きがある」の表記。
縫合部より下の脂肪の無さを改善できたりしないかなぁ。

乳輪乳頭再建も含めて、美容外科とか他所の形成外科にかかればできない事もないのだろうけれど、なかなか踏み出せない。
他で修正した場合、フォローアップってどちらでするんだろうとか気になってしまう‥。それでもなんでもやりたい!という強い意志がないという事だろうし、まずは傷跡が消えて欲しい。いや、傷跡も美容皮膚科とかに行けばいいのかも?

 

⑤BRCA遺伝子変異の有無とルミナルの関係について

FQ19.BRCA遺伝子変異陽性進行・再発乳癌患者の薬物療法として何が勧められるか?
一方、多くの乳癌はホルモン受容体陽性であることから、BRCA遺伝子変異陽性乳癌の絶対数はホルモン受容体陽性乳癌で多い。
したがって、ホルモン受容体の発現状況のみでBRCA遺伝子変異の有無を判断することはできない

2019年の夏にBRCA遺伝子変異陽性の乳癌や卵巣癌を適応にしたオラパリブが発売になり、その適応を調べるのにBRCA1/2遺伝子検査も保険適用になっていた。さらに11月に発症後のHBOC診断目的でも同検査の保険適用になっていたのだそう。
12月13日にはすでに発症している場合は予防的切除も保険適用、予防的切除をしない場合でもMRIや超音波検査などによるフォローアップ検査が保険適用になっているのだという。

mylifeafterbc.hatenablog.com

これ、何故か叔母を2親等と数えて40%!と思っていたけれど、今見直すと3親等になるので確率的には20%だった。(といってもn=5なので参考ならないかも?)
それでも気になりだすと気になる。

ちょうど明日は3年目検査。
主治医に気になると言ってみようかな‥。