My life! after diagnosed with BC

再発リスク評価とS-1

「再発リスクが中リスクあるいは高リスクのエストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性乳癌」などと書かれている場合の再発リスクとはどうやって決められているのか、ずーっと気になっていた。

探し出せたのは、2005年で古すぎるけれどSt.Gallen2005でのリスク分類。
Low:
N0かつ、以下をすべて満たす場合
・pT≦2cm
・組織学的グレード1
・脈管侵襲なし
・Her2(-)
・35歳以上

Itermediate:
N0は以下がひとつでも当てはまる場合
・pT>2cm
・組織学的グレード2-3
・脈管侵襲あり
・Her2(+)
・35歳未満
N1はHer2(-)の場合

High:
N1かつHer2(+)
N2以上

でも、St.Gallen2005ではこのリスク分類で化学療法の上乗せを決めていたそうなので、やっぱり古い基準なのだろう。
新しい論文や試験で用いる基準はもっと違うのでは‥?と思ったが、斜め読みだからかその説明を見たことがなかった。
どういう条件が低リスクと中・高リスクの分かれ目なのか、ようやくそれに触れているレビューを読めたので覚書。

2012年から京都大学の研究グループによって実施、国内139施設が参加したPOTENT試験から。(日経メディカルOncologyニュースより)
※素人解釈なので要確認、全然間違っている可能性もあるので‥

POTENT試験概要:
再発リスクが中・高程度で根治手術を受けたER陽性/HER2陰性に対する術後補助療法として、術後内分泌療法単独とS-1の併用とを比較

結果:
S-1を併用した方が内分泌療法単独よりも浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)を有意に延長できる

対象の選択方法(≒リスク評価基準):
① 術前化学療法を受けた場合
術前療法の前に腋窩リンパ節転移が陰性で、術前化学療法でpCRは対象外(=N0かつpCRは低リスク?)

② 術前化学療法を受けなかった場合
腋窩リンパ節転移が陽性またはリンパ管浸潤があった場合は対象
・N0の場合はグレードごとに基準が変わる(Tよりグレードが優先?)
グレード3→全員が対象
グレード2→T2cm以上は全員対象、T1以下は増殖マーカーの結果が条件を満たすと対象(=T1以下かつ増殖マーカー低値は低リスク?)
グレード1→T3以上は全員対象、T2は増殖マーカーの結果が条件を満たすと対象、T1以下は対象外(=T1以下とT2で増殖マーカー低値は低リスクなので除外?)

③ 術前内分泌療法を受けていた場合:
・N1≧:術前療法前にN1≧は全員対象
・N0:②のN0基準と同じ

グレードは評価する人の主観によるとも聞くけれど、この試験では先にグレードで評価して、N、グレード、T、増殖マーカーの順で評価されていく。
自分が、術後に病理結果を待っている間、グレードが高ければケモと言われていたので、評価は病理医次第なのでは?と気になっていた。
結果は、細胞異型は「中程度」(=2)、分裂像の増加は見られない(=1)、で合計3点Grade1だったが、グレードを決める核異型度の「目立たない」か「目立つ」は確かに主観的だろうし、「1と3の中間」の1と2、2と3の線引きは病理医ごと・施設ごとに差がありそうだと思うのだけど。核分裂像の数は視野数や数が決まっているので定量化されているのだろうけれど、核異形度の基準って…。

この試験でのリスク評価なので、他の評価方法もあるのだろうか。増殖マーカーについても気になる・・。

ところで、E2陽性はケモへの反応がよくない場合が多い(低Ki-67であまり細胞分裂していない場合≒Luminal Aの場合??)と聞くけれど、pCRってどのくらいの割合なのだろう。
ただ、Luminalでのnon-pCRは必ずしも予後不良とはいえないそう。

TNBCやHER2陽性では術前化学療法でのnon-pCRは予後を予測する因子と言われるけれど、Luminalでは予後の予測因子がないらしい。
それが解れば、TAMの延長とかAIにスイッチとかLH-RH Agonistを足すのかどうかとか、5年にするのか10年にするのかとか、ホルモン療法の強さを決める際に活用できそうなのだけど。
でも、やっぱり知らない方がいいのかも‥?という気もどこかでするけれど。

経口だし‥と思うが、POINT試験ではS-1では消化器毒性や発疹などの有害事象で継続できない人もいたそうなので、誰でもとりあえず足しておけば安心!という訳でもない。(当たり前?)

サブグループ解析では、通常のケモとS-1では有効な群が異なると思われる結果。ケモへの感受性を予測する手法としてOncotype DXのRSスコアを用いて、
・臨床的に高リスク、でも低RSの場合はケモよりS-1を追加
・RSが高く、ケモをしても再発する場合にはS-1の追加効果を期待
・術前化学療法で効果があまりなかった場合にS-1投与を追加

…といった使い方が考えられるのだそう。

 

なにはともあれ、治療の選択肢がどんどん広がっている事にやっぱり感謝しかない。

 

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ある日の餃子屋飲み。

餃子は大きくてジューシー、唐揚げは皮がパリパリで柚子胡椒がよくあう♡

締めのまぜそばも美味しかったのだけど、油断してニラを避け忘れたらやっぱり帰ってからの胸焼けが酷かった…。定食にもできるので、こういうお店が近くにあったらいいのになー。