My life! after diagnosed with BC

ホルモン療法も術前になっていく?

エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌には、術後、再発予防として内分泌療法が標準的に行われています。この内分泌療法に加えて化学療法が必要な患者をどのように選択するかを検討したのがNEOS試験です。ESMO2018では、術前内分泌療法の効果と予後の結果を発表しました。主要評価項目の結果は来年になると思いますが、今回の結果からもER陽性例における術後治療の方向性は見えてきました。

乳癌の分野にも免疫療法の時代が来た:日経メディカル

NEOS試験はER陽性の閉経後乳癌患者にレトロゾールで術前ホルモン療法をした中で、進行した(PD)患者を除き、完全奏功:CR+部分奏効:PR+病勢安定:SDとなった患者の術後療法を、ケモあり・なしに分けて長期予後を検討した。内分泌療法単独群にはレトロゾールを4.5-5年間、ケモ+内分泌療法群には医師が選んだケモの後にレトロゾールを投与としていた。

PDとそれ以外、を分ける基準はこんな感じ。
RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors):固形がんの治療効果判定
CR 完全奏効:Complete Response、腫瘍が完全に消失した状態
PR 部分奏効: Partial Response、腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態
SD 安定: Stable Disease 、腫瘍の大きさが変化しない状態
PD 進行: Progressive Disease、腫瘍の大きさの和が20%以上増加かつ絶対値でも5mm以上増加した状態、あるいは新病変が出現した状態

術前治療の臨床的効果は、CR 2%、PR 48%、SD45%、PD5%で、奏効率(CR+PR)は50%、病勢制御率(CR+PR+SD)は95%との結果。
術前ホルモン療法が効かずに20%以上の増加し5mm以上増大したりと、ホルモン療法に反応しなかった人(PD)は5%になる。

95%が病勢制御と言っても、SDが45%もいる‥。
そもそもER陽性は急激に増大しない方が多いのだから、術前ホルモン療法中(6ヶ月?)にはそんなに増大しない人も多いような気がする。だとすると、45%には成長が遅いだけで本当はホルモン療法が効かない人も含まれているのでは??

PDの人では、遠隔無病生存(DDFS)・無病生存期間(DFS)のいずれも悪い結果だったが、OSではCR/PR/SD患者とPD患者で違いはなかったそう。
PDの人はランダム化には入らずに医師が選択した治療(内分泌療法を替えながら全員が化学療法)をしているが、圧倒的に予後が悪いとのこと。

他には、このNEOS試験の中で、OncotypeDXのRS(Recurrence Score)と術前治療の効果の相関を調べるTransNEOS試験も行っているそう。
TransNEOS試験では、1次登録した904人のうち約300人を対象にしてOncotype DXのRSでHigh/Intermediate/Lowのグループに分けに分けた。
RS、Ki67値、その他の臨床的なデータを術前治療の効果と比較すると、明らかにRSが術前治療に対するPDの予測因子として信頼性があった、という内容。

アメリカで保険収載だからなのか、OncotypeDXをやることが前提で話が進んでいる。日本でももっと安くできるようになるのだろうか。でも、海外委託検査で余計なマージンはかかるし、コストダウンで価格が下がる検査とも思えない。他の遺伝子検査ではなくOncotypeDXとのみ比較したデータしか出てこなければ、競争が成り立たないのでは。国民健康保険で補助するくらいしか負担を小さくする方法はないのだろうけれど、もっと国内でお金をまわすことができればいいのに。
それとも競争が成立しないほどOncotypeDXは特別素晴らしい検査なのだろうか。
ただ他の遺伝子検査での臨床試験が組まれていないから優位性を示すことができていないだけのような気もするのだけど。
とはいえ、この先世界で色々な試験が組まれる中でOncotypeDXと比較して、となるのはn数からすると避けられないのだろうなあ、今からでも巻き返しは可能なのだろうか‥と違うことを考え出してしまった。

前にも書いたが、この2年弱の間に私がナナメヨミしているだけでも、色々な治療法が次々に出てきている。
新薬の他にも、LH-RH Agonistは5年とかタモキシフエンからAIに変更するとか延長するとか既存の薬の組み合わせもどんどんブラッシュアップしている。効果があるもの、そうでもないものもあるだろうけれど新しい治療法があれば繋いでいくことができると思うと、本当にありがたい限り。

そしてふと思い出したのは、まだ手術前に行ったセミナーで腫瘍内科の先生が「治療法はどんどん新しくなっていって医師もついていくのが大変。まだそんな治療をしているの?とおもうような施設もある」と言っていたこと。
治療の選択は正しい/正しくないというよりも、希望に近いかどうか、何を一番大切にしたいのか、だと思う。目先の希望で長期的な見通しに欠けてしまったりしないように自分も勉強し、医療従事者から道案内をしてもらっている。
でも、その道案内が間違っていたら、明らかに古いやり方とか効果が見込めない治療や勘違いなどで、大切にしたいことや希望に反してしまうかもしれない。先生を信頼しているけれど、自分でもやっぱりしっかり確認して後悔がないようにしていきたい。