My life! after diagnosed with BC

ホルモン療法と副作用・2020

第28回日本乳癌学会のPAP(患者支援プログラム)の紹介記事、「副作用がつらくてもやめないで! 乳がん術後のホルモン療法 続けるための第1歩は、つらいと医師に伝えること」から。

ガイドライン等でよく聞く話が大半だったけれど、改めて。


「ホルモン療法は、再発の危険性を約50%低下させる」

元々50%の再発リスクであれば、治療することで25%もリスク減!となるけれど、もともと低リスクであれば、その低下分も少なくなる。
たとえば再発リスクが5%なら、ホルモン療法による再発リスク低下は2.5%のみ。
あとで出てくるPredict Breastで計算すると、私の場合は15年の死亡リスクは6%、ホルモン療法によって1.9% (1.1% – 2.3%)と計算される。

とはいえ、ここでも言われているのは「再発させないことが最優先事項」
ホルモン療法による再発抑制効果は、抗がん薬治療の有無や年齢、リンパ節転移の有無、腫瘍の大きさなどの要素にかかわらず認められる。
Lh-Rh Agonistを渋っていた私に、「再発させたときに一番後悔するのは○○さんだから」と主治医が言ったことを今でも思い出す。


で、ホルモン療法は長期化

ガイドラインの通り、タモキシフェンは5年よりも10年継続した方が再発抑制効果が優れている。

再発リスクは25%低減(5年投薬で25.1%、10年で24.1%)
死亡リスクは29%低減(5年投薬で15.0%、10年で12.2%)

25.1%と24.1%って1%しか違わないようにみえるし、15%と12.2%も2.8%の差だけど、それぞれ25%と29%低減という表現になるのか・・どういう計算方法なのだろう、3.98%と18.67%じゃないのね。
あと5年飲んでも1%しか変わらないのかと思うと、「5年でいいか」という気になるけれど、「25%低減」と言われるとがんばろうかな、という気になれる。数字マジック?

レトロゾールの5年DFS(無病生存率)も、36カ月以上内服で94.9±0.6カ月に対し、36カ月未満では89.2±2.3カ月。

Predictの試算でも、5年の上乗せは0.5% (0.3%- 0.6%)だけど、10年で1.2% (0.7%-1.5%)、15年になると2.3% (0.7%-2.6%)。
経時のグラフで見ても、時間が経つほどに効果が大きいのが見て取れる。

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LumialAでゆっくり増えることを思えば、5年の生存率では大きな差が出ないのは順当なのだろうし、やっぱり晩期再発のケアが気になる。

15年後の上乗せはTAM5年を選ぶと1.9% (1.1%-2.3%)、10年を選ぶと2.3% (0.7%- 2.6%)。
同じ理屈で、「5年既に治療済み」を選ぶと「+ 5 more years hormone therapy」として5年延長の上乗せも計算され、数値は当然10年2.3%-5年1.9%=差0.4% (-0.1%-0.6%) と出てくる。
0.4%と言われるとさすがに5年でいいのでは?という気もしてしまうのだけど、「5年再発率25.1%、10年再発率24.1%は25%リスク減」の計算方法だと、もっと大きなリスク低となるのだろうな。差/基準値*100で、(2.3-1.9)/2.3*100=17.39%減?違う??
5年終わった時点で、なんて言われるのかなー。


さらに、コンプライアンスも重要

レトロゾールのデータでは、コンプライアンスが90%以上だと5年DFSは98.9±0.21カ月に対して、90%未満では96.8±1.4カ月となるのだそう。

薬が1日分足りない!と騒いだ時に、長期摂取だから多少忘れても大丈夫・・的なことを言われたけれど、やっぱりちゃんと飲んだ方がいい結果になりそう。
90%って1か月30日計算で27日相当。(たった)3日忘れたら効果が下がる計算。


ケモに比べるとホルモン療法での副作用にはこれといった対策がなかったり、副作用は軽いと思われがちなのだそう。(同じこと言われたなあ‥)
でも、効果はあるのだし対策もあるから、ムリに我慢したり治療を諦めたりせずに、まずは主治医に相談。
主な副作用。


ホットフラッシュ

・ホルモン療法を受けている患者の50%以上が経験する
・アロマターゼ阻害薬よりもタモキシフェンの患者で多い
・症状は自然に軽快していくことが多いとされる
・対処方法は服装の工夫や運動など、日常生活の改善(!)
・漢方は効くという報告とそうでもないという報告の両方がある
パロキセチンは禁忌(CYP2D6を阻害してTAMの効果が減弱する可能性)
・ホルモン補充療法も当然禁忌、再発が増加することが複数の研究で報告されている

これだけ読むとなんだか救われない気持ちになる・・。
自身の体験で言えば、漢方(桂枝茯苓丸)→SSRI(レクサプロ)→SSRIジェイゾロフト)→漢方(加味逍遥散)と対応してもらった。
SSRIはホットフラッシュ用だけではなかったらしいけど。

正直どの薬もあまり改善せずに、このままだとどうなるんだろう?と悲しくなったり、熱さで寝不足だったり生活しずらくて苦しんだけれど、あと少しで4年目となる今ではほとんど気にならない。
今楽なのは冬だからかも?という気もするけれど、カラダがエストロゲン不足に慣れたのでので漢方はもう要らないのかも!?とちょっと期待して、加味逍遥散を止めてみたところ、あっさりホットフラッシュ復活。なので、維持療法だと思って飲み続ける。

一番効いた感じがするのはレスキューでのむ黄連解毒湯(強く冷やす)、次は今も飲み続けている加味逍遙散。初期のころの熱さや苦しさは、漢方で改善した。
先生は桂枝茯苓丸一択だったので、加味逍遥散にたどり着くまで結構苦戦したけれど、あう漢方はすっと効くというのがよくわかった。

「更年期なんていずれみんな通る道だからー」とか「えー、最近私も暑いよー」とか言われこともあるけれど、突然エストロゲンゼロになるのはそんなものじゃなく辛い。(いや、あまり辛くない人もいるのかもしれないけど)
だから、つらいな・・と思っている人は我慢しないで。
でも、薬を止めちゃう前に改善しないかできることはないか、試してみてほしい!


子宮体がん
(これは副作用というより不安?)
5年のTAM内服で2.4倍に増加するという報告があるけれど、内訳は54歳以下では子宮内膜がんの増加はなく、55歳以上の年齢に限って約3倍に増加
※年齢で切るのはデータ解析上だろうから、閉経前と閉経後?

これだけ見ると、「え、2.4倍?55歳以降は3倍も?!」とイヤになるけれど、そもそもの発症率が低い。リスクとベネフィットを秤にかければ、再発防止・生存率向上・対側予防などのベネフィットの方が大きいことを忘れない。

米国産科婦人科学会からのタモキシフェンと子宮内膜がんについての声明
(Obstet Gynecol 2014; 123(6): 1394-7)
・TAM内服により子宮内膜の増殖・過形成・がんや子宮肉腫のリスクが上昇するという情報提供を行い、いかなる不正性器出血も精査するべき
・TAM内服中の閉経後女性は、子宮内膜の過形成・がんの兆候がないか、綿密にモニターすべき
・TAM内服中の閉経前女性は、子宮内膜がん(子宮体がん)のリスクを上げるというエビデンスはないので、ルーチンの婦人科ケアを超えてのモニタリングは必要ない
・子宮体がん高リスク患者でない限り、定期的な子宮体がん検診は子宮体がんの早期発見に有用であるというエビデンスはないので推奨されない

日本産科婦人科学会ガイドライン(産科婦人科ガイドライン-婦人科外来編2014)
・50歳以上、もしくは閉経後で不正性器出血のある女性、あるいはリスク因子のある女性を対象に選択的に施行する

婦人科で、「乳がんに罹患した時点でハイリスク」(≒リスク因子アリ?)だと婦人科で言われたことがあるけど・・だとすると、やっぱり定期的な検査は必要ということ?リスク因子って何?


関節痛、関節のこわばり
・アロマターゼ阻害薬服用によりエストロゲンが枯渇することが原因とされている
※TAMではあまり話題にならないけれど枯渇具合が違うから?
・発現率は報告により15~47%
・内服開始後2〜3カ月以内におこり、治療期間中は継続することが多いとされる
・発症しやすいのは閉経後早期(5年以内)の患者

対処方法:
①非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン等鎮痛薬の内服
②原因となったアロマターゼ阻害薬を他のアロマターゼ阻害薬やTAMに変更

これ、実はちょっと怖い。約半数、治療期間中は継続って。
遺伝子検査して卵巣を予防切除したら「閉経後の治療に変更」と言われた。TAMでも動き始めの関節が痛かったのだけど、また?しかももっと痛そう・・。
アロマターゼ阻害剤の方が効果はあるけれどその差は小さい、副作用を考えると(低リスク群は)TAMでもいいかも?という話をどこかで見たけど、どうなんだろう。

骨密度減少

・血中エストロゲン濃度の低下に伴い骨密度が減少し骨粗鬆症発症のリスクが高まる
・アロマターゼ阻害薬の服用は、骨粗鬆症を助長する可能性がある
・アロマターゼ阻害薬を服用する場合、年1回骨密度を測定する

対処方法(骨粗鬆症を発症した場合):
骨粗鬆症治療をプラス(カルシウム製剤・ビタミンD・ビスホスホネート製剤・デノスマブ)
②タモキシフェンに変更(骨に対して保護的に働くから)


体重増加(副作用扱いだった!)

・タモキシフェンを内服している患者に多い
エストロゲン作用によるものと考えられ、有効な治療法や対処法は確立されていない
一般には、体重が5kg増加すると乳癌死亡リスクが1.6倍程度増加することが示されている
再発予防のために、適切なカロリー摂取、適切な運動により体重を増加させない

・・これ。
前にも悩んだことがあるけれど、TAMをやめて体重が落ちつくのであれば、TAMで50%減よりもリスク1.6倍の方が大きいのでは、という気がしてしまう。
何もしなければ6%、5Kg太ったら9%。TAMの効果で3%になるとすれば、TAM+太った場合は?3%の1.6倍だとすれば4.8%ということ??
うーん、だとすればTAM飲まないで6%とほとんど差がないことになってしまう?

TAM継続で体重を戻すのが正解なんだけど、なかなか思うようにならない。

 

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昨日のおひるごはん、さっくり香り高い全粒粉のシナモンロール
好きなだけ食べても体重増えなかった頃が懐かしい・・。


記事中で、「Predict Breast cancer」が紹介されていて、自分の再発率とどの程度リスクが減少するのか計算してみては、とのこと。

mylifeafterbc.hatenablog.com

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自分の状況を知るって大事だと思う。

もちろん、価値観は人それぞれ。
リスクを理解したうえで止めるという選択もある。
でも、この程度だったら治療はいらないのでは・・と思ってしまわないように。

いずれにしても、自己判断で治療を止めずに主治医に相談してね!ということ。

2021年1月で4年目となるホルモン療法。
朝は加味帰脾湯、夜は桂枝茯苓丸で割と調子が良い。
・朝怠くて眠くて起きれないことが減った
・眩暈、ふらつきは軽減(でもまだふらつく・めまいもおきる)
・起き抜けに痛かった足首&足裏は引き続き改善継続(痛くない)
・ホットフラッシュはほぼ感じない(冬だから?でも去年までよりも寒さを感じる)