My life! after diagnosed with BC

2018年版乳癌診療ガイドライン:薬物療法

自分が関係するところ・興味があるところのみ抜粋して覚書。


ホルモン療法に関して:

CQ1)閉経前ホルモン療法として何が推奨されるか?
① タモキシフェンの投与を強く推奨する。
LH-RHアゴニストとタモキシフェンの併用を弱く推奨する。
LH-RHアゴニストとアロマターゼ阻害薬の併用を弱く推奨する。

①に関しては、タモキシフェンの副作用として気になる、脳卒中・深部静脈血栓・心血管障害は有意なリスク増加なしだそう。子宮体がん(子宮内膜がんのこと?)に関しては、罹患リスクは2.4倍になるが死亡リスクに有意差なし。54歳以下は罹患リスクの増加も認められなかったそう。心配するのは55歳以上になってからでいいのかな?

②は再発を危惧する対象(35歳以下,腋窩リンパ節転移陽性,化学療法が必要)には臨床的意義がある一方、ホットフラッシュなど有害事象の増加もある。再発リスクが高い患者には、再発抑制効果という「益」が期待できるが、副作用と比較すると確実に「益」が勝るとはいえないと考えるから、だそう。
うーん、LH-RH Agonist、やっぱり私には不要な気が‥。(でも続けるけど)

③は試験の結果にバラつきがあるので、タモキシフェンが使用できない場合に考慮する、だそう。

LH-RHアゴニスト+アロマターゼ阻害薬では骨痛,骨粗鬆症が増加し、LH-RHアゴニスト+タモキシフェンでは血栓症,子宮ポリープが増加するとも書かれている。
え。タモキシフェン単独であれば血栓もポリープもリスクは上がらないのに、LH-RH Agonistと併用すると上がるってこと?

この益と害の話から、投薬期間にリンクが張られている。

CQ3)浸潤性乳癌に対する術後内分泌療法の至適治療期間はどれくらいか?
・タモキシフェン10年の投与を強く推奨する
・閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対するアロマターゼ阻害薬10年の投与を弱く推奨する


・・・だよね。

へー、と思ったのは、タモキシフェン10年の合意率。
推奨を決めるのに2回投票が行われたが、1回目の「行うことを強く推奨する」合意率は58%(7/12)だった。その後、閉経前患者では有害事象である子宮内膜がんリスクは増加しないこと・欧米のガイドラインの内容の再確認等をし、2回目の投票を行ったら、合意率は92%(11/12)となったと書いてある。
この委員会のメンバーは、きっとある程度全国を代表するような施設の先生だろう。それでも4人の先生は子宮内膜がんのリスクが上がらないことや欧米のガイドラインの内容を把握していなかったから意見を変えたのか?と思うと、先生が言っているから~となんでも鵜呑みにしていられないのかも‥。

子宮体がん検査は特に必要ないと言われたが、これはこの辺りとリンクしているのかも。もちろん心配なので受けたいというのはアリだけど、リスクが上がっているから1年に1度は‥と言われて痛いのに我慢して検査している人もいそう。これも慣習であってエビデンスがないのであれば検査を受けない選択肢が広がる。

 

最近時々目にする、ホルモン薬による術前療法

CQ4)手術可能なホルモン受容体陽性浸潤性乳癌を有する女性に術前内分泌療法を勧められるか?CQ4a 閉経前女性の場合
→乳房温存手術を目的とした術前内分泌療法のエビデンスは乏しく勧められない(行わないことを弱く推奨する)


閉経後の術前内分泌療法は、術前化学療法と比較して奏効率や乳房温存率の有効性は同等だが、長期予後への影響や至適期間が不明。
でも、閉経前だと術前化学療法(閉経後術前内分泌療法も同等)と比べて奏効率が劣る。ということで、閉経後なら考慮の余地はあるらしい。

 

これも最近聞くことがある、

FQ6)原発乳癌に対する再発予防を目的とする術後薬物療法として骨吸収抑制薬(ビスホスホネート,デノスマブ)は勧められるか?


ビスホスホネートがゾメタ、デノスマブはランマーク。
初期治療としてのビスホスホネートは、特に閉経後患者において骨転移や遠隔転移のリスク低下・全生存期間の改善をもたらす可能性があるそう。一方、デノスマブはデータ不足らしく根拠が乏しいとなっているが、現在D-CARE試験という国際ランダム化比較試験が進んでいるそうなのでこちらも有効(もしくは無効)というデータがそのうち出てくるのだろう。

閉経後患者と(閉経前)LH-RH Agonist使用の場合、2016年のヨーロッパの臨床診療コンセンサスガイドラインでは併用が推奨、2017年のASCOガイドラインではビスホスホネートを検討することが推奨となっているそう。でも日本では保険適用外。。

 

最近悩むのを止めたけれど、SSRIとCYP2D6の件。

BQ12.内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対策として薬物療法は勧められるか?


ホットフラッシュの発生は、血中エストロゲンが少なくなることで視床下部の体温調節中枢に関連するセロトニンやノルエピネフリンなどの新規伝達物質レベルが不安定になるためと考えられるそう。
SSRIはランダム化比較試験で効果があると認められ、アメリカのNAMSガイドラインで有効とされている。ただし、赤字で以下の但し書き。

SSRIのCYP2D6阻害作用により,タモキシフェンの効果が減弱する可能性もあるため,タモキシフェン投与中の患者におけるSSRI投与に関しては慎重に判断すべきである。

でも、他のてんかん薬などはリスクが高く、ビタミンE7とか漢方とか大豆イソフラボンとかハーブは有効か不明。じゃあどうすればいいの?我慢するだけ?
治療開始後数か月経つと次第に軽減されるので‥と書いてあった。主治医もそうなる可能性が高いと言っていたけれどそういうもの??
鍼療法が効果があるかもしれないとのことで気になる。東洋医学科併設とかだと安心して受けれそうだけど、一般の鍼灸院でいいのかな。

その他の副作用として取り上げられていたのは、AIによる関節痛。痛いからと薬を止めずに、痛みどめや抗炎症薬を飲む。それでもだめならAIの種類を代えることが推奨。

 

FQ15.CYP2D6遺伝子多型をタモキシフェンの治療効果予測検査として調べることは推奨されるか?
→タモキシフェンの治療効果を予測する十分な根拠はない。


これは前回までと同じく、人種差や試験のあやふやさを理由に一貫した結果が得られていないとのこと。

 

その他いろいろな薬物療法に関してはこちらから。


サブタイプによってとタキサンの効果に差があるというのも載っていた。
HER2陰性&ER陽性、HER2陰性&Ki67低値、E2陽性&Ki67低値、リンパ節転移陰性などの場合は、タキサンの追加効果が低い可能性が報告されているそう。

こうなってくるとやっぱり個別化医療(プレシジョン医療)が安く受けられるようになるのが、QOL向上にも経済的にも一番Happyなのかな、と思う。