話すことで辛い気持ちを離す
タクシーでかかっていたラジオから流れてきた、犯罪被害にあった方向けの支援団体の言葉だった。
私にとっては書くことで辛い気持ちを離しているのだろうか。今でも言葉にするほど今でも病気のことを受け入れられていないと思う時がある。
‥と、書きかけのままだったが、話す事ってやっぱり必要だと思ったことがあった。
ここ数週間、また自分の気持ちを持て余している。
今回は原因がはっきりしていて、親しい友人に希少がんがみつかったこと。
離れているし私には何もできない。
飛んで行っても、長期入院に備えて片づけなければならないことがたくさんある時に負担ではないだろうか。自分が入院していたころやその前を思い返すと、あまり人と会いたくなかったしやることに追われてココロもカラダも疲れ果てていた。それを思い出すとあまり無理に会おうとするのも気が引ける。実際「週末に時間がある？」と聞いてみたが「やらなければならないことがあるし、きっちり退院するからその時に！」と返ってきた。
何もできず、ただただ心配で、不安になって、理不尽さにいら立ち、全てが空しくなって厭世的になって、悲しくなって突然涙が出る。自分のことではないのに自分のことのように感じる。もちろん当人はもっともっと戸惑って苦しいはずなのだけど。
今は物理的に離れているが、今私が住んでいる街でも東京勤務だった頃も、毎日のように一緒に過ごしていた時期があったので、街中を歩いていてもニュースを見たり聞いたりしても、あちこちで一緒に過ごしたことを思い出す。海外や地方都市名を聞いても一緒に行った旅行を思い出し、野菜を見ては一緒に選んで料理をしたことを思い出す。別れた恋人を思い出すみたいに、なにをしていても思い出が出てくる。
特に、ヨガをしていると突然感情が溢れてしまう。「感情を開放する効果もあるからそういう事もある、大丈夫」と最初は言っていた先生も、大人が毎回感情的になるのは異常だと思ったらしい。だれか相談する人はいるかと尋ねられた。相談しても仕方がない、と急に現実的になったけれど、言葉にして相談することには意味があった。
理不尽でどうしようもないことに腹が立って悲しくなるのが止められない、どうしたらいいのか分からない。あるがままをただ客観的に見れるようになるにはどうしたらいいのか、という質問につながった。
・まだ起きていないことを先回りして想像して不安にならないようにする
・解っている事実と想像しているだけのことを切り離す
・自分の事と他人の事を切り分ける、共感し過ぎで混乱している
・心配して悲しんでも状況は変わらないし、ネガティブなエネルギーに飲み込まれる
・心配しすぎて自分が壊れないように、自分の事にも目を向ける
・離れていても祈ることはできる、そしてそれはちゃんと伝わる
最後の「祈る」は、あまりにも宗教心がないからなのか、誰に祈ればいいのか解らない。教会？神社？お寺？どれもイベント的に手はあわせるけれどなんか違う気がする。
じゃあ一体どうしたらいいのだろうと思っていたけれど、秋晴れの雲一つない青空に気づいた日、この空は繋がっているのだから同じ空を見ているかも、とふと思った。
「祈る」とは違うのかもしれないけれど、この空をみて強く願ったことは少しは伝わるのかも、私の気持ちを受けとめてくれるのかも、という気分になった。
祈って願って病気が治るのなら、病気なんてなくなるだろうし非科学的にもほどがあるという事は解っている。でも、今まで非科学的だと思っていたことも、弱った心の安定に効果的なのかもと思うと、自分がこの先民間療法とかに助けを求めてしまわないかとふと不安にもなる。壺を買ったり水を買ったり、手を翳してもらって大金を払っていたらどうしよう。
話がそれまくって、全然まとまらないけれど、話したことで離すことが、少しだけでもできたこと、言葉にしなくても書いているうちに自分の頭の整理に繋がること。
どうにもやりきれず、ふとした瞬間に思い出しては泣く‥という、自分にとってもあまりよくない状態が続いている。自分が病気になった時とはまた違うけれど、ただひたすらに悲しい感じ。
今は、食事も食べられるし、眠れてもいる。何かをしている間はふつうでいられる。でも、ひとりになったりなにかのきっかけで急に気持ちが上がらなくなってしまう。だから、ひとりになったりなにもない時間ができるのが怖い。誰かと一緒にいたり何かをしていないと落ち着かない、焦燥感。やっぱりなんかちょっと変な感じ。。
それでも、秋晴れの空の下で咲いていたひまわりにちゃんと目が止まった。
秋らしい、チョコレートコスモスのような色合いがかわいいの。
まだ大丈夫。
