My life! after diagnosed with BC

Web版 乳癌診療ガイドライン2018年版!

気づけばWebで読めるようになっていた、乳癌診療ガイドライン2018年版。
http:// http://jbcs.gr.jp/guidline/2018/about/guidline2018/


気づいたばかりなのでまずは概要から。 コンセプトは、

医師と患者のShared Decision Makingのサポートツールとしてのガイドラインを目指して

shared decision making(SDM)は協働意思決定とか共有意思決定とよばれる、患者と医師が情報交換をしながら共同で意思決定をする方法。
医師が治療法について説明して患者自身が同意するinformed consent(IC)には患者の希望が反映されにくいことから、その進化系として広がっている方法だそう。緩和ケアやリハビリの分野で進んでいるらしい。


構成
総説:治療の基本的概念・言葉の定義・歴史的流れ・教科書的な話題

BQ(バックグランドクエスチョン):従来のガイドラインでの標準治療、遵守してほしい内容、古いデータのみで新たなエビデンスが出てくることはないと予想される内容(議論の余地なしで確定済みだから?)

CQ(クリニカルクエスチョン):日常臨床で判断に迷う事への推奨決定会議の議論のポイント等。推奨決定会議の投票・推奨および推奨の強・そのコメント付。

FQ(フューチャーリサーチクエスチョン):今はデータが不足しているが、今後の重要な課題と考えられる内容に対しての現状の考え方。


今後の改定予定
次回の改定書籍発刊は2021年(3年後)予定。
でも、その間データはどんどん出るので半年ごとにエビデンスの蓄積を確認して、必要に応じてWeb版の改訂(追加,修正等)を進める予定とのこと。
患者向けの「患者向けガイドライン」は1年後(2019年?)に改訂版を発刊予定。

‥だよね、いままでなかなか改定にならないガイドラインとASCOのレビューやNCCNのガイドラインなどを見比べては、ガイドラインに記載はあるけれど、これは最新のデータに基づく判断として正しいの?と思ったり、逆に提示された内容が(更新されていない)ガイドラインに記載がなかったりすると「これって標準治療じゃないけれど大丈夫!?」と不安にもなる。


この「コンセプト」に先生方も色々思うところがあるのだろうなーと思った。

今までのガイドラインの記載の中でやや欠けていた点に「益と害のバランス」という視点がある。

(前のガイドラインでは)ポジティブな結果が出ているものはエビデンスがあるとして、多くの場合で「強く推奨する」としていたけれど、今回はリスクとベネフィット(risk&benefit)の方が耳馴れているが、「益と害のバランス」を考慮して推奨の強さを決定しているそう。


この考え方はしめくくりでも繰り返されている。

医師および医療関係者と患者さんの間の関係は,主従ではなく,仲間でもなく,相互に信頼しあう同志の関係性であるべき

医療者が患者さんに向き合う際のツールとして使用していただきたい。ガイドラインは絶対的なルールブックではない

医療の現場で行う介入は,すべて良い面だけの介入はほとんどなく,程度の違いはあれ必ず害の側面をもつ。

 

バランス重視、が最前面に押し出されている感じ。

温存するか全摘するか、リンパは廓清するかしないか、再建するかしないか、術後のフォローアップはどうするか、薬物療法はどうするか。するかしないか、するとしたらなにをするかいつまでするか‥この病気になって、とにかくたくさんの選択がある。

私に選択肢はなかったが、センチネルで微小転移があった場合に廓清するかとか。私は知らなかったけれど術中迅速検査をしないでセンチネルの採取のみだった。勝手に術中迅速で廓清が決まる、ミクロでも廓清すると思っていたので今にして思えば術前に無駄なストレスを抱えていた。

これはお任せしてしまっているが、3か月に1回の視触診+半年に1回のエコーと血液検査(生化学・腫瘍マーカー)+1年ごとのマンモでフォローアップしていて、ちょうど良いくらいだと思っている。でも、3か月ごとにエコーしないと心配な人、もっと頻繁に腫瘍マーカーを測りたい人、CTやPETもやらないと心配な人、逆に頻繁に行われる検査で気が滅入る‥とそれぞれ希望は様々だと思う。

その一方、一次で再建するよりは二次の方がいいと思うという方向で話が進んだが、最初から一次再建の可能性はないのか、本当にどうにもならないのか、はかなりの勢いで主治医に質問した。で、形成主治医共々あまり乗り気ではなさそうだったが、とりあえずトライはしてみようかというところまで持ち込めた。

私は一部はどうしてもこうしたい!と強く依頼したことも、自分で決めずに任せた&任せていることもあるが、どうしたいのかをもっと相談して決めていくと言う事。

医師や医療者、ガイドラインは、情報を開示してその情報の意味を伝えてくれる。それを正しく理解して、自分が何を重視したいのかをはっきりさせて、希望を正しく伝えて、何を選んでいくのかを一緒に決めていかなくてはならない。その希望は毎回ぶれるようではだめで、中・長期的なことも考えなくてはならないのだろう。
何よりも安全性を重視するのか、最低限の治療でQOLを重視して流れに任せるのか。環境しだいで価値観は変わってくる。

効く治療はやる、ではなく、常に強い治療が最善とは限らない。不確実な将来を予測して選んでいく‥はー、いざそういわれるとちょっと荷が重い。


でも、このSDMを実践するには医師との信頼関係、情報交換のための診療時間、選択肢の正しい理解が必要になると思う。
今まででさえ、「あまり理解していなさそう」「間違えた知識を信じている」「先生にすべてお任せしたい」という患者も多いと言っていた。自分も含めて、選択肢への十分な理解は大変そうだし、情報交換に必要な時間を取れない先生も多いだろう。
主治医とうまくコミュニケーションが取れない、言いたいことを言えない、目もあわない、忙しそうで一言二言しか話せない、質問すると不機嫌になる‥といった悩みもよく見かける。

個別対応には時間がかかるのはどこでも一緒だろうけれど、せめて私にできることとして、しっかり勉強しようと思う。

今回のガイドラインには、その助けもあるようだ。

このエビデンス総体・システマティックレビュー資料には、なぜそう判断したかとかポイントはどこだとかの資料が添付されている。
今までなんで?どうして?と、もどかしい思いだったことが解決するかも!