My life! after diagnosed with BC

がん遺伝子検査・PleSSision検査 が気になる

がん遺伝子検査が数万円でできるというニュースが出ていた。調べる遺伝子数を160に絞った簡易検査で費用を抑える。変異があるかどうかは確定できないが疑いがあるかどうかのスクリーニングができるというもので、費用は自費でも数万円。これが実用化すればがんゲノム医療が手の届くものになる第一歩なのかも。

このサービスの概要がこれっぽい。

がん遺伝子解析サービス | ライフサイエンス|三菱スペース・ソフトウエア

サービスと書くと語弊がある気もするが一大産業だ。次世代シーケンサーやAIを使った解析ソフトなど多くの技術からできた国内で完結するサービスだ。
「PleSSision検査」は日本語訳ではがん遺伝子検査となる。2015年1月に米国一般教書演説にてオバマ大統領が“Precision Medicine Initiative”を使用したことで知られるようになった言葉らしい。
今まで同様のがんクリニカルシーケンスは検体ごと海外へ送ってシーケンスと解析を委託していたため高額だったり、病院内にシーケンサーを持ち、遺伝子解析をそれぞれが行っていたため大学病院などの研究施設を併設する施設以外では実施が難しかったりする問題があったが、この検査は国内でシーケンスと解析を実施するというもの。こちらも外注で検査するようだが、臓器が異なってもがんの原因になる遺伝子異常に特徴があり、それによって効果のある治療(薬)の情報が得られるというコンセプトは同じよう。必要な要件はもちろんあるだろうが、それを満たせば一般的な臨床検査の外注と同じように大がかりなラボを持たなくても実施できるようになっていくのかも。

固形がんで、多くは標準治療を終えた患者が検査を受けているそうだが、本来この検査は治療法がなくなってからではなく、治療を始める段階で実施するべきものだそう。実際に欧米では診断初期に受ける検査だそう。ヨーロッパは国によるのだろうが、アメリカでは加入している保険によって受けられる人は限られているのだろうなあ。治療初期に受けることができて効果のある治療薬が見つかり、それを使用することができるのであれば、効果のない治療を避け優先的に効率的な治療ができ、QOLも治療成績も上がると期待できそう。「ここ1年は紹介も多くなり、導入を検討される病院も増えました」とあるように、慶応以外でも受けることができそうな感じ。慶応では治験扱いで無償だが、実際、自由診療で数十万円の費用がかかるがこの検査を受けられる施設はあるようだ。
‥ずいぶん金額に乖離があるなぁと思っていたら慶応で新たに実施するのはPleSSision検査ではなくPleSSision-Rapid検査という、血液検査を含まない内容だというニュースが出ていた。腫瘍細胞の160の遺伝子を調べるというところは一緒なので内容的にはかなり近いものだと思うのだけど。(PleSSision検査は腫瘍細胞と血液、PleSSision-Rapid検査は腫瘍細胞のみだとか)

原発が異なっても同じ遺伝子変異によって発がんすることがあり、遺伝子を標的にする分子標的薬はがん種に関係なく原因となる遺伝子が一致すれば奏功するはず、という理論に基づく。が、標準治療で原発臓器ごとにがん種と分子標的薬の組み合わせが決められている。だから他のがんでは使用できる薬が別のがんでは使えない、ということになる。「エビデンスに基づいた標準治療」が足かせとなっているということ?
さらに「遺伝子パネル検査に対して懐疑的な医師がいることも事実です」の一文。国の施策で進められているし信頼できる考え方なのだと思っているが、懐疑的な意見もあるということはまだ未確定なのだろうか?単に従来の治療法から抜け出せないというだけなのだろうか?

このPleSSision検査、乳がんでホルモン療法を継続していても加入できる(可能性がある)がん保険のメディコムでもカバーできる可能性があるそう。数万円で受けられるのであれば実費でもいいのかもしれないが。
でも、こうした検査を受けて治療できる薬があったとしても次は費用の問題がある。国内未承認でも、乳がんは患者数が多く開発中の薬も多いが未承認薬であれば健康保険は使えないので実費。欧米で承認されているが国内未承認の抗がん剤は65種類、薬剤費がわかっている45種類の一か月の薬剤費は100万円を超えるそう。もちろん払える人もいるのだろうが私には到底無理。患者申出療養制度で治療に伴う検査や入院料に保険適用してもやっぱり無理。効果がある薬がないとわかることもつらいが、効果があるとわかったのに費用の問題で医療できないというのもつらいような気がする。。未承認薬をカバーする保険というのもこういう検査が実用化してくると必要になってくるのかも。

いずれにしてもこの分野、とっても興味深い。