My life! after diagnosed with BC

再建について。選択や経過、仕上がりの私感

再建手術に関する情報提供用冊子「乳房再建術後の経過とケア」を静岡県立静岡がんセンターで作成したそう。再建後ケアに関する情報提供は珍しいとのことで紹介されていた。

再建手術の種類ごとに時系列に沿って説明した。傷の場所や経過、術後の合併症の可能性も詳しく解説。適切な下着や子どもの抱き方など日常生活の注意点はイラスト付きでまとめた。

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この資料の作成経緯に関して、再建後に「こんなはずではなかったと感想を述べる患者が少なからずいる」ということが再三書かれていた。また、「乳房再建について考える余裕がなく、よく検討しないまま再建手術を受けるケースがある」とのこと。乳腺外科は混み合っていて2か月3か月のOP待ちは普通、とも聞くがその期間に再建のことはあまり考えないものだろうか。こんなはずではなかったというのは仕上がりのことだろうか、術後の生活などのことだろうか。気になる。

もちろん仕上がりには不安はあった。私が術前に一通りの説明を受けた際に形成主治医から見せてもらった手術例はどれもきれいな出来だったし、Webで見ることができる術例もどれもきれいな出来だ。再建セミナーや体験会で見せてもらう再建例も、ある程度仕上がりに自信がある人たちだろう。むしろ失敗例を見る機会はほぼないのではないだろうか。
主治医はきれいに仕上がっていると言うが、元の胸とはもちろん違う。もっとここにボリュームがあればいいのに、とかもっと傷が目立たなければいいのに、とか希望はいろいろある。それでもこんなはずではなかったのに‥とまでは思わない。
皮膚が足りないから、と繰り返し言われていたからか、見せてくれる例はチャンピオンデータなのだろうと思っているからか、元の胸が手に入るとはそもそも思っていなかったからか。
私にとって、全摘する以上再建は不可欠だったこともあり、温存できないと言われた時点で何が何でも一次再建する方法を模索していた。渋る現在の主治医の意図を汲みきれなかったこともあり、再建に関してずいぶん調べたからそう思うのだろうか。
多くの人は聞きたいことも聞けないまま、言いたいことも言い出せないままに「とりあえずTEを入れておいて後でゆっくり考えましょう」と流れ作業的にOPを向かえてしまうのだろうか。
インプラント再建だと加齢で健側が下垂するとか10年20年後には入れ替えが必要かもしれないということは「再建したいのであれば読んでおいてね~」と軽く渡された資料に記載されていた。自家再建だと入院期間が長くなるとか追加の傷が残るとか筋力が多少落ちるとか、大半のことは同じく資料に記載されていた。私が渡された資料はこれ。あまり普及されていないのかな??

乳房再建手術について | E-BeC(エンパワリング ブレストキャンサー)


いや、今でこそこう書いているが、思い出せばTEが入っていたころは、位置が悪い、服にひびくので着るものがない、アバラが痛いなどと不満だらけだったかも。。こんなはずではなかった、に近い思いで痛さに苦しんでいたかも。もし私にとって再建が絶対ではなく、勧められたからとかとりあえずTEだけ入れておきましょうか、的な感じで選んだのだったとすれば「思っていたのとは違うー!!」と思っていたかも。


再建に関して、予想と違ったことや思ったことを思いつくだけ書き出してみる。

・とにかく痛かった。終始内出血箇所をぎゅーーっと押されているような鈍い痛みが2か月続いた(ただし、私は他の人よりかなり痛がっていたらしい)
・退院後も1か月以上痛くて苦しくて気力がそがれていた。思い出すのも嫌‥
・術後の下着はケアブラ+バストバンド指定
・痛みがなくなってからはケアブラ+バストバンドで安定させた方が楽に過ごせた
・皮膚が足りないので時間がかかるかもと言われていた加水は順調だった
・加水のペースは順調だったが、水入れ後1日くらい痛くてまともに動けなかった
・うわさ通りインプラントは冷たい。TEは冷たさを感じなかった
・TEは全く動かなかったがインプラントは多少寄せることができるようになってきた
・TEはかなり低い位置だった。低い方にあわせるブラがなくて苦労した
・TEのずり上がりを防ぐバストバンドで上部を締めていたので健側のデコルテがつぶれた、ケアブラ生活で健側が垂れた(後日復活)
・ぐにゅぐにゅとTEが動くのが終始気持ち悪かった
・脇側はTEのカドが触れている感じで動くと痛みがあった
・水入れ完了後1か月はケアブラ+バストバンド、その後はノンワイヤーなら自由
・モールドブラ、カップ付キャミはカップの圧迫感が気持ち悪くて使えなかった
・うつ伏せも横向き寝も問題ない、うつ伏せでマッサージも大丈夫と言われていた
・TEでは圧迫感が気持ち悪くてうつ伏せはできなかったがインプラントなら平気
・(病院の方針で)術後4日目からリハビリ。TEが入っていても手を高く上げてもOK
インプラント入れ替えの仕上がりは希望がなければ左右対称につくるらしい
・健側をブラで寄せて上げたいので不自然にならない範疇で患側を高く調整した
・ワイヤーブラを使うのならば健側を多少高くしないと不便と(後日)言われた
インプラント入れ替えOPは楽勝♪という感想を見ていたが、私は結構辛かった
・術後1週間くらいはそれなりに痛い。痛みどめをもりもり飲んでいた
インプラント入れ替え後1か月はケアブラ指定
・1か月後からブラはいきなり自由。ワイヤー入りでも寄せて上げてもできる範囲で自由にどうぞ、だった
・太ったので現在は健側の方が大きくなった

‥もう忘れているだけで、思っていたより不満は色々あったのかも。

TEが入っていた時は毎日絶え間なく続く痛みでイライラしていた(痛みどめもほとんど効かなかった)ところに、位置&大きさの左右差補正がうまくいかないこと、健側がぺそっと貧相になっていくことは確かにストレスだった。その後うつの症状が出てそれどころではなくなったが、仕上がりを不安に思う余裕がなかったのかインプラントに入れ替えれば大分変わるから、という形成主治医の言葉を信じて「一時のことだから」とあまり考えていなかったように思う。主治医はインプラントの入れ替えを終わらせた事でメンタルが安定したと考えているようだ。実際はどうだったのだろう。ジェイゾロフトが効いたと常々思っているが、偶然タイミングがあっただけでインプラント胸が手に入ったことで私の気持ちが落ち着いたのだとすれば、この病気で胸を失うことが大きなストレスになっている人にとっては再建って素晴らしい。

思い知らされたのは天然の胸はブラが多少合わなくても無理に寄せても上げてもなじんでくれるけれど、インプラント(もちろんTEも)はほぼほぼムリ。もともとしっかり寄せて上げていたので、もっと寄せたい、もっと上げたいと思うこともある。ブラをつけるともう少し患側を寄せてもらえばよかったかなーとも思うが、脱いだ時に不自然にならない程度だといい具合なのだろうな、とも思う。私は形成主治医とインターンに、「寄せて上げたいけれど脱いだ時に不自然なのはイヤ。ぎりぎりのバランスで先生方から見ていい感じの胸に仕上げて」と丸投げしてしまったが、こだわる方は細かく打ち合わせをした方が後悔がないのかもしれない。私は(施設的に)対応してもらえなかったが、脂肪注入や健側つり上げ、豊胸・縮小などのオプションがあればもっと選択肢が増えて自然にきれいな理想に近い胸にできるのかも。

いい例えではないのかもしれないが、美容室のようなものだと思う。切ってみるまで仕上がりは想像することしかできない。元の髪質や希望のスタイルによってはあまり手を加えなくても思った通りに仕上がることもあるし、カラーリングやパーマ、トリートメントなどを組み合わせれることで希望に近く仕上げることができることもある。難しいオーダーにはカットだけではなく、カラーをダブルカラーやホイルワークにしたりエアウェーブや縮毛矯正などを取り入れることで近づけることができるかもしれない。
色々な再建方法は手段でしかなく、それらの組み合わせで満足する胸に仕上げてもらうしかない。
私は治療優先の病院の形成外科でOPしたのでそれらオプションは選択の余地がなかった。カットの技術のみで仕上げます、的な感じだろうか。健側にボリュームがなく、下垂もなかったのであまり手を加えなくてもそれらしく仕上がりつつあるが、脂肪注入とかしてもらえたらなー、と思った時期もある。

でも、どうしても満足できない!!という時は、他院でも手直しができるのだから思い悩まなくてもいいのではないかと思う。

再建に関して調べていたころ、過去にがん専門病院で乳房再建を、今は美容整形CLで美容医療と再建を手掛けているっぽい先生が書いていたブログを見てそうだよね、と思った。

まず主治医を信じて生命を優先して手術をして下さい。
その主治医とタッグを組んでいる形成外科の先生を信じて再建までやっちゃって下さい。
結論
再建を終えて、形が悪かったら前田が綺麗にします!
https://ameblo.jp/slbcvogue/theme-10094745440.html

 
手術をして再建が不要であればそれでいい。
再建したいのであれば、主治医と組んでいる形成外科の先生がきれいに再建してくれればそれでいい。
不満があるのであれば、その先生に手直ししてもらえるのでもいいし、乳房再建が得意な先生にきれいにしてもうらうのでもいい。
再建するにしてもしないにしても、たくさん悩んでたくさん情報収集してたくさん相談してできるだけ後悔のない選択ができる環境がどんどん整っていくのだなぁと思う。少し前までは保険は適用されず、再建できる施設もかなり制限があったはず。

選択肢が増えているのだからそのなかから自分の希望に沿う選択をするための努力も必要になっていくのだろう。私もこの先まだ選択しなくてはならないことがある。