My life! after diagnosed with BC

CYP2D6とタモキシフェンとCPIC Guideline

「Clinical Pharmacogenetics Implementation Consortium (CPIC) Guideline for CYP2D6 and Tamoxifen Therapy」というCYP2D6に関する論文がCLINICAL PHARMACOLOGY & THERAPEUTICS(雑誌名)に掲載されたというASCOのニュース記事を読んだ。
CPICはClinical Pharmacogenetics Implementation Consortium (臨床薬理学実施コンソーシアム)のことで、CYP2D6とタモキシフェンに関するガイドラインに関する論文を作成し、それが掲載されたということ。CYPの話は賛否両論あって意見が割れていることも、評価がが難しいことも、すべての影響を考慮するのは難しいこともなんとなくわかってはいるが、ガイドラインとなるとその団体の代表する意見となるのだし、それなりのデータと検証結果に基づくはずなのでもちろん気になる。

https://cpicpgx.org/content/guideline/publication/tamoxifen/2017/tamoxifen_reprint.pdf

私が気になるのは2つ。

① 今飲んでいるTAMは十分な効果が期待できるのか
② レクサプロによる影響は&ジェイゾロフトはやっぱりマイナスに影響するのか

①に関しては、乳がん学会のガイドラインでは「推奨グレード C2 タモキシフェンの治療効果予測検査として(CYP2D6遺伝子多型を)調べることは,勧められない」となっている。
でも、内容を読んでみると
・遺伝子多型はある程度代謝に影響することは確実(*4アレルホモは代謝しない)
・*4アレルは日本人ではまれだが、*10アレルは40%程度いる
・*10アレルも*4より軽度だがCYP2D6に影響する(*10ヘテロはー10%程度ホモは-60%くらい低代謝
・日本人は人種的に代謝できない人はめったにいないが、日本人の半分程度の人は90%-40%程度の低代謝の可能性がある。(*4アレルを持つ人はかなり少ない反面*10アレルは40%くらいが持つ)

40%程度の低代謝ならば効果にはあまり影響しないということだろうか。

こちらでは多型と効果や副作用の関連は一定程度認めているよう。

医療関係者向け情報をご利用前に | nyugan.info 乳癌診療情報サイト

それでも一般的にCYP2D6活性の指標とするエンドキシフェン血中濃度は、CYP2D6以外の様々な代謝酵素がエンドキシフェン薬物動態に影響を与えるので、CYP2D6遺伝子多型のみの情報でエンドキシフェン血中濃度を評価できないとしている。
ということは、結局エンドキシフェン濃度は血液検査でモニタリングするしかないということか。
CPICガイドラインではCYP2D6の多型の代わりにエンドキシフェン量で評価する(と書いているような気がする)のだけれど、カナダの試験ではこのエンドキシフェンは冬季には20%も低下するなど生理学的な変動もあると思われるとされているらしい。

じゃあ結局なにで評価するのだろう。あー、もうこうなるとよくわからない‥。
タモキシフェンがこんなに色々影響を受けるのなら、トレミフェンを標準治療にすればいいのに、と安易に思うが、そうならないのにはどんな理由があるのだろうか。
閉経前の術後療法でも保険適用だし、有効性はタモキシフェンと同程度ということなのに、トレミフェンは耳にはするけれどあまり論文やガイドラインに出てこないのはなぜなのだろう。
閉経前の術後療法には適用外だとも聞くが、「薬理作用が同様と推定される」ので「原則として、「トレミフェンクエン酸塩」を「閉経前乳癌」に対し処方した場合、当該使用事例を審査上認める」と通知が出ている。
‥ということは適応外処方ではないはず。

83 トレミフェンクエン酸塩(外科1)|社会保険診療報酬支払基金


②は何度も蒸し返しているがずーーっと気にかかっている。そもそもLH-RH Agonistを併用しているので、そこまでTAMに関して神経質になるより先に脂肪からのエストロゲンを心配して痩せるべきでは?という気もするが。
脂肪を減らすといえば、これまたタイムリーに今日顧客先でInBodyという体組成計で計測させてもらった。結果は、ここまで筋肉量が落ちて体脂肪率が上がっているなんて‥と愕然。
去年の3月に測ったときと比べて体重+6.5Kg(あと少しで標準からはみ出そう)、体脂肪率は標準と低いの境目だったのに9%UPで普通を通り越して一気に高いという評価に、筋肉量は標準と高いの境目から標準ど真ん中まで落ちていた。。もはやデブの域。

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それはさておき、CPICのガイドラインではCYP2D6によって分解されるうつ病の薬剤をタモキシフェンと同時に服用すると、その薬剤がタモキシフェンと競合関係となるためエンドキシフェンの産生が落ちる、高程度・中程度だけでなく軽程度のものも避けるべきとなっている。この部分。

In general, prolonged overlap of tamoxifen with strong and moderate CYP2D6 inhibitors should be avoided in tamoxifen‐treated patients,47 whereas weak inhibitors are also contraindicated in CYP2D6 IMs.

2011年で少し古いが、こちらでも同じようなことが書かれている。

nyugan.info

併用薬剤とタモキシフェン活性代謝物濃度では、日本人には少ない*4アレルのホモはエンドキシフェン濃度が-75%程度、ヘテロで-50%程度に下がるが、この多型は日本人には4%程度とのこと。
日本人に多い*10アレルだとホモで-60%くらいだがヘテロでは-10%程度の変化で済むよう。ところがCYP2D6阻害剤を併用すると野生型ホモ、ヘテロにかかわらず1/2程度のエンドキシフェン濃度となるというデータ。96%の人が阻害剤を併用することで50%の効果しかられないということ?

気にしていたジェイゾロフトセルトラリン)は軽~中程度とされているが、やはり代用薬に変更を推奨となっている。レクサプロは代謝に影響がないグループになっているようだが、薬理を見るとCYP2D6に影響しない訳でもなさそうだ。このデータベースではレクサプロはSYP2D6で代謝される薬に分類されている。

http://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=DG01644

 

気にし始めるときりがないことはわかっている。でもやっぱり気になる。
結局私はレクサプロを飲んでいて本当に大丈夫?

明日受診のこのタイミング。しつこく聞いて先生方には申し訳ないけれど、論文コピーを持って行って聞いてみよう。かわさずに答えてくれるかなあ。