My life! after diagnosed with BC

手術前にどうしてもやりたかったこと

全摘と決まって、手術が決まって、どうしてもやりたいことがあった。

両胸そろった状態の自分の体を写真に残したい。特別胸が自慢だったわけではないが、愛着がある。おそらく手術後には自分がどんな体のラインだったか、どんどん忘れていくだろう。いつまでも忘れられないよりはいいのかもしれないが、それでも記憶からなくなってしまうのは哀しい。

いざ写真を撮れるところを探すとなかなかみつからない。主にWebで検索したがヒットするのは首都圏のスタジオがほとんどだった。東京に行って撮影しようか‥と思っていたところ、私の希望を知っていた友人がマタニティヌードを手掛ける女性カメラマンのスタジオを教えてくれた。

街中のビルの一室にスタジオがあり、まずは撮影内容とイメージを相談する。同じく手術前の記念に、と撮影した方の写真を見せてもらう。(もちろんご本人の承諾済み)モノトーンのクールな写真で、飾ってあっても違和感がないような仕上がりだった。せっかっくプロに撮影してもらうのだから普段の自分と違う雰囲気もいいかと思ったが、もっと自然な自分を残したかった。傷のない躰で自然な表情で、できれば幸せそうな雰囲気の写真を記憶として残したかった。裸の状態で自然な、と言っても無理があるような気もするが、希望通り作り込まれていない素の自分に近い雰囲気に仕上げてもらえた。

女性カメラマンとはいえ、初対面の人の前で全裸でポーズをとって表情を作るという非日常感は私にとって楽しいというよりも居心地が悪いものではあった。それでも気楽な会話で気を紛らわせ、自然な表情を引き出してもらうことができた。

人生でこんな経験をするとは思ってもみなかったが、出来上がった写真を見たスタジオを教えてくれた友人は自分も撮ってみたいと言っていた。

 

これを書いているのは後日なのだが、その時の写真は自室に飾ってある。最初は見る度に胸が痛むのではないかと少し心配だったが、楽しそうに写っている自分の姿を見る事で失ったものをいつまでも悔やむのではなく今の自分の躰を受け止めるための助けとなっている。病室や自宅で撮るのもいいと思うが、生活感のない写真を残せた事はよい記念になった。スタジオを探す際は「マタニティ ヌード  スタジオ」などで検索するかマタニティ用の情報誌などを探すと見つけやすいようだ。2時間くらいで撮影は終わるので少しでも気になる方は記念に残すとよいのではないかと思う。手術してしまったらもうできないのだから。