20時からの火渡りにあわせて17時に出発。
途中、海沿いの奇岩と夕日でピンクに染まる海を見たり、店じまい途中の道端のさくらんぼを見つけてUターンしたりしながらのんびり向かう。
どの程度混んでいるのか、交通規制はどうなっているのか、車は停められるのか、基本情報がほとんどないまま町に入る。
中心部に近づくとやはり交通規制中だが、誘導に従って迂回すると、町役場の向かいにある観光案内所の駐車場が現れる。ぎりぎり停めれるくらいの混み具合。
車を停めたら音のする方へ。
道路脇に人が見えてきて、その向こうにはオレンジの衣が見える。
天狗だー!!
ちょうど駐車場から出た目の前の道路にいた。
右に左に、周囲に睨みを効かせながら獅子舞と御神輿を従えて進んでいく。
少し進んだところで休憩。
獅子舞の子供がさっとパイプ椅子を用意、お付きの手を借りながら椅子へ。
続いて天狗の前にゴザが広げられ、子供2人の獅子舞が始まる。
その次は少し年長の子が一人で獅子を舞う。
体を低く、
高く、
時には跳んだりしながら少しずつ天狗に近づいていく。
睨みつけられて一旦離れても、また二度、三度と近づいて威嚇する。
天狗の我慢も限界、ついに立ち上がって獅子を追いかける。
逃げる獅子、追う天狗。
最後は天狗に首根っこを押さえてられてお付きに取り押さえられる。
この獅子も中学生くらいの子供が演じているし、天狗も一本歯の下駄で走ったり跳んだりすごい。 見応えたっぷり。
この間、後ろでは御神輿が高く低く揉んだりしながら進むのを待っている。
その後しばらくして、おもむろに天狗が立ち上がると先導が進み、交差点に差し掛かると四方に塩を撒いて清めた後、辻に問題はないか天狗が見渡す。
天狗のOKが出ると、ようやく一行はまた神社へと進んでいく。
三日月と星がきれいな夕暮れ時。子供のころ行った神社のお祭りを思い出す。
少し先の神社には既に火渡り待ちの人がたくさんいた。
奥の鳥居の下辺りが空いていたのでそこから見たが、ちょうど正面になるので本格的な装備の写真目的の人たちがいる辺りだった。
あとでわかったのだが、天狗も御神輿も火渡りの後境内に入っていくので、ちょうどその通路だった。なので道を開けて、という指示にあわせてよけるのだが、一部写真に夢中の人たちは指示に従わずに写真を撮ろうと進路の前に出て、神職の方に「神事なんだから!」と怒られていた。
確かに奇祭と言われる類の珍しい行事だし、凄い写真が撮れるチャンスだけど、いい写真を撮りたいからといって、邪魔になっているのをわかっていながらカメラを構えて前に出ているのは、心無い残念な感じだった。
他にも、撮影用の踏み台の上から、どの位の時間を掛けて渡るのか尋ね、「天狗の後に御神輿も渡りますよ」と答えた警備の警察官に「あ、御神輿はどうでもいいの、天狗、天狗。」と、残念な発言をしている人もいた。
もちろんそういう心無いのは一部の人だし写真を撮っている人には限らないけれど、天狗も御神輿も伝統ある神事の一部なのだと、被写体の背景を尊重する気持ちがあってもいいんじゃないかなあ。
そんなやりとりの後、ようやく一行が神社に帰ってきた。天狗は一旦社務所に戻り、御神輿は外で待機。約20分。
神職の方が用意したカンナ屑に火をつける。
結構な勢いで燃える炎にさらにカンナ屑を足して火の勢いが高まっている中、天狗のシルエット!
渡ってきたー!
歓声と拍手が起こる。
距離があったのでスマホではこれで限界、表情?はわからない。
外から中へ、一旦戻ってもう一度、合計3回の火渡りを終えた天狗はぐったり。
振り返ると、お付きの二人に両脇を抱えられながら本殿の方へ向かって行った。
御神輿の火渡りに続いているので、鳥居をくぐった後の天狗の事は誰も顧みない。二日間一本歯で歩き周り、獅子を退治し、火をくぐり、お疲れ様でした。
続いて4基の御神輿も火を渡る。
一基目はあちこち燻りながらの帰還だった。桜組と書かれた女神輿も、ひときわ大きな拍手と共に三度の火渡りを終えていた。顔、ヤケドしたりしないのだろうか‥。
全てが終わり、道路に出ると山車が音楽をかけていて、沢山の人がそれにあわせて踊って夏祭りの余韻を楽しんでいるようだった。
帰り道は混雑するかなー、と思ったけれど、連なる車は10台もなかった。
ほとんどは地元の人のよう。
見物客には外国人も多かった。情報は多くないのによく来たなあ。
その後食事をして、遅くまでやっている温泉に入ってから帰ったら1時過ぎ。
あっという間の8時間だった。
美国神社祭典(美国の火祭り)
開催日:毎年7月4、5、6日 (2019年は最終日が土曜日!)
「天狗の火くぐり」は5日6日の20:00から、美国神社で開催
住所:積丹町美国町大沢230
楽しかったので今度はデジカメも忘れずに、来週の古平にも行ってみよう。