こんなの無縁の話だわ―、と思っていた働き方改革。
残業だらけで御世辞にもいいとは言えない労務環境の勤務先も(ようやく!)帰宅時間管理や代休・有給の取得にうるさくなってきた。
支店からは人手が足りない・忙しい・休暇も取れないという声が聞こえてきている中ちょっと心苦しいが、そんな環境も明日は我が身なので人数が多い部署にいることに感謝しつつ、今のうちに代休を取る。
せっかくの平日休み、温泉に行くことにする。近場の温泉地もいいが、いいお湯につかってひたすらのんびりしたい。宿代が平日で少し下がる分、食事も豪華に。
開湯は、江戸時代の慶応年間 所在の大塚要吉が山歩きをしていて、傷ついたクマが川岸のお湯溜まりに浸かっているのを見たのが、きっかけだったといいます。
以後100年以上、渓流沿いに湯治宿がいくつもあったという地域に残る温泉。
インフィニティ露天風呂(?)ふうに川っぷちに広がる開放感がありそうな露天風呂の写真に魅かれて、秘湯とも書かれているこちらへ。
「けんいちおんせん」と読む。
表記ではナトリウム-塩化物泉となっているが、赤茶けた濁流のような色のお湯。
三百メートル上流の岩の間から毎分70リットル湧き出る湯は60~70℃。
湯口から注ぎ出るときはほぼ透明ですが中に含まれる鉄分が酸化するため、湯は赤茶色に濁っており、ミネラル分が豊富なため、外傷、打撲傷、リュウマチ、神経痛に効くとされております。
もちろん100%源泉掛流し。露天は温度を下げるための水の蛇口もない。
きもちいいーー。
思っていたよりも川とは距離があったけれど、せせらぎの音しかしない。
ぼーっとお湯につかり、熱くなったら涼しい川辺の風でカラダをさます。極楽。
温泉を楽しんだら、部屋で川を眺めて涼む。
飲んだら昼寝。
起きたら温泉。
旅館の食事はニガテなものも多いので素泊まりにして好きなものを食べてからチェックインすることが多いのだけど、今回は2食付。
山の中だけど二つの海に面した町なので、アワビや海産物が豊富。
☆あわび刺身:新鮮なあわび!しっかりとしたコリコリの歯ごたえと昆布の香りをご堪能ください。肝醤油にして食べるのもオツです
☆あわび踊り焼き:活あわびを贅沢にお好きな焼き加減でお召し上がりください
☆あわび釜めし:釜いっぱいに広がるあわびの旨味、柔らかな食感をお楽しみ頂けます
☆ウニ鍋:上質な蒸しウニに噴火湾のほたて貝、ニラ、豆腐を使った卵でとじたまったり濃厚なウニ鍋です
☆季節の小付:季節の素材を使用してご提供いたします
食事は部屋食ではなく、川が見えるフローリングの大部屋で。(貸切だったけど)
テーブル一杯にお料理が並ぶ。
アワビー♡
お刺身と踊り焼き。
少し小ぶりだけど適度に軟らかくて歯触りも磯の香りもしっかり楽しめる。
まだトゲが動いている濃厚&新鮮な殻付きのウニ、ジューシーな焼き牡蠣と焼き白貝、アワビが丸ごと入ったたっぷりの釜飯、お豆腐とニラとホタテとウニを卵でとじたうに鍋。せっかくのウニを加熱しなくても‥と思ってたが、歯ごたえが変わって甘みも増して面白い。他にも鮎の天ぷらなど、海産物尽くしの夕食をお腹いっぱい楽しむ。
(‥鮎は川魚だけど)
食後は部屋に戻ったあとは、また飲んで→温泉を繰り返す。
この日は他の宿泊客がいなかったので何時でも何処でも広々貸切!
10時-20時までは500円で日帰り入浴も受け付けているので、時々脱衣所で人と行きあう事はあったがすれ違い程度で、浴室は毎回貸切状態で終始ゆったり入れた。
建物は古いしお風呂は鉄分で赤茶色になってはいるが、館内はどこもとても丁寧に清掃されていて気持ちがよい。
事前情報では男湯の方が広いとの事だったけれど、他にお客もいないのでちょっとのぞいてみたら、左右対称の造りで同じようだった。
露天風呂には加水設備がないので、その時々の湧出源泉の温度+外気の具合で湯温が変わる。夜になって気温が下がればぬるくなるかと思ったがそうでもなく、露天は終始熱めだった。本来、ぬるめのお湯に長くつかるのが好きなのだけど、ここは長湯しても湯あたりすることもなく、立ちくらみすることもなく、不思議と熱くてものぼせずにずーっと入れるいいお湯だったー♡
だんだん暗くなっていく日暮れの空を見ながら、夜中はお酒を持って行って露天風呂で飲みながら、日が昇ったら寝ぼけながら川の音を聞いてぼんやり‥と、目いっぱい何もせずに、のんびりすることを楽しむ。
朝食。
山の中なのだけど、山菜などはあまりなく、あくまでも海鮮メイン。
いかの沖漬、塩うに、程よく脂ののった鮭など、どのおかずもごはんがすすむー。
じんわりお出汁が凍みた茄子も、なめらかな地元のヨーグルトも、ふわっと甘いお豆腐も、どれもおいしい。
普段は食べない朝食もしっかり完食♡
食後はチェックアウトまで時間があるのでもう一度お風呂。お世話になりました。
帰る道では、道の駅ごとに並ぶ山菜やハーブ苗からどれを買おうか悩んだり、
地元で造ったチーズやハムを使ったピザを食べたり
ワイン醸造所に寄ってナイアガラ(甘いワイン)のソフトクリームを食べたり。
久しぶりに出発前日に軽いぎっくり腰になって、車の振動に耐えられるかとか温泉に入るのに屈めるだろうかとか、いろいろ心配でどうなることかと思ったのだけど、この温泉がとてもよく効いた!
着いてすぐに入った時はまだ全然ヨロヨロだったのに、一度浸かっただけで上がった後はなんだかラク。気のせいかと思ったけれど入るごとにどんどん楽になっていって、帰りの車に乗るときは痛みもなくすっと体を屈められるようになっていてびっくり。
さすが湯治場、クマのキズも治れば私のぎっくり腰も癒される♡
あまりに癒されたので、適応症と禁忌症を確認してみた。
適応症
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、痔疾、慢性消化器病、慢性皮膚病、病後回復期、疲労回復、健康増進、虚弱児童、慢性婦人病、冷え症、きりきず、やけど禁忌症
急性疾患(とくに熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性の疾患、高度の貧血、その他一般に病勢進行中の疾患
‥悪性腫瘍は大概の温泉で禁忌となっているし。切除済みなのでいいのだと思おう。タンポポの綿毛理論で考えると何もできなくなってしまう。
最近はなんだか落ち着いてゆっくりする時間がなかったので、温泉滞在中はなーんにもないのでひたすらのんびり。
温泉にはいって昼寝してちょっと飲んだらまたお風呂‥と、ただただゆるゆると過ごして美味しいごはんをいただくだけの、イノチの洗濯旅行♡