先日の緩和ケアで処方された「別のお薬」、スルピリド錠。
使用方法としては、
①ジェイゾロフトを3錠から2錠に減薬して2週間様子をみる
②眠さ・怠さが解決したら2錠で継続
③まだ眠くてだるければ、スルピリド錠を朝晩追加する
④スルピリド錠を追加しても眠くてだるくても、1か月分の処方は飲み続ける
減薬で解決するのが一番うれしい。
ジェイゾロフトに追加するとのことなので、どんな薬なのか気になる。
抗ドパミン薬(消化管運動改善薬):消化管運動を亢進させ、消化管運動の低下などによる吐き気、胸やけ、食欲不振などを改善する薬
スルピリド錠50mg「アメル」の基本情報|日経メディカル処方薬事典
適応が認められているのは3種、
・胃・十二指腸潰瘍(1973年)
・統合失調症(1979年)
・うつ病・うつ状態(1979年)
元々胃薬として使われている中で、抗鬱効果がみられたという薬。
低用量で使うとドーパミンを増加させるので抗うつ効果が、高用量だと、過剰なドーパミンを抑えるので統合失調症に効果が期待できるとのこと。
今回の処方は、50mgを朝晩2回なので低用量(通常、うつに対する処方は150mgから)で、ドーパミンを増やして元気を出す目的っぽい。
低用量のスルピリドが増やすドーパミンとは:
・うつに関連しているといわれているセロトニンやノルアドレナリンと同じ、モノアミン・カテコールアミンという分類の神経伝達物質のひとつ
・ドーパミンが制御しているのは、快楽・意欲・食欲・性欲・探求心・動機づけなど。ドーパミンの分泌が足りないと、無気力になり食欲や興味、意欲がなくなる
・普段の生活ではやりがいとか達成感を感じたときにドーパミンが分泌されて、体が軽くなったり、眠気が取れたり、意欲や興味がわいている
・反対にドーパミンが過剰になると、幻覚・妄想に繋がる。快楽と関係しているのでギャンブル・買い物・アルコール・薬物など依存症などの原因にもなる
・少量のスルピリドは受容体をブロックして、ドーパミンが足りていないと錯覚させて分泌を促進する。ドーパミンD2受容体をブロックすると、ノルアドレナリンの分泌も促進される
→少量のドーパミンの分泌を誘発させることで、倦怠感や傾眠、無気力、食欲がないなどを解消する
対して副作用。
・ドパミン遮断による副作用→高プロラクチン血症や錐体外路症状‥ってなに??
錐体外路症状=(薬剤性)パーキンソニズムの症状:動作が遅くなる・声が小さくなる・表情が少なくなる・ふらふらする・歩幅が狭くなる・一歩目が出ない・手が震える・止まれずに走り出す・手足が硬い
高プロラクチン血症:プロラクチンは出産後の乳汁分泌に関わるホルモン。高値になると乳汁分泌・月経不順・不妊を、男性は性欲低下や勃起障害を引き起こす。
‥いつもながら、メンタル系の薬の副作用って怖い。
低用量では錐体外路症状が問題になる事は少ないそうで、問題になるのは高プロラクチン血症。その症状は、
急に母乳が出る?!そんな副作用もあるのね。。女性には使いにくいとされているようなのだけど、人工更年期の私には関係ないという事かしら‥。
・睡眠障害(2.88%)
・振戦(1.28%)→錐体外路症状
・眠気(1.22%)
・月経異常(1.17%)→高プロラクチン症状
・アカシジア(0.99%)→錐体外路症状
・乳汁分泌(0.88%)→高プロラクチン症状
アカシジアは、ソワソワしてじっとしていられない・体を動かさずにはいられないなどの症状のこと。他にも、便秘・口が渇く・体重増加(!)・吐き気など。
気になるのは、体重増加と便秘。処方前に緩和ケア主治医が、体重が減らないのが気になっているんですね‥と呟いていたのはこのことだったのね。
太る薬と言うけれど、レクサプロ・ジェイゾロフトと同等の評価だし‥と思ったが、
胃の働きを整えて食欲を増加させる働きがあるので、食欲にまかせて食事をしていると体重増加してしまうことがあります。
って、向いていないーー!!
対処法は、もうほとんど実践済み。
・生活習慣を見直す
・運動習慣を取り入れる
・食事の際によく噛むようにする
こんなことで解決するなら‥。
さらには、眠気・怠さ対策なのに、眠気(傾眠)1.22%の報告も。これに対する対策は、慣れるまで待つ、服用のタイミングをかえる(夕食後や就寝前)、薬の量を減らす、薬の変更だそう。なんだかあんまり根本的な解決策になっていないような。
朝晩2回も飲むのも嫌だなぁと思っていたが、これは薬の半減期が短いので、効果の持続時間も短いからだった。
半減期(T1/2):8時間
最高血中濃度到達時間(Tmax):2~3時間
朝晩飲むと1日血中濃度を保てるということだった。
飲み始める前からなんだか気が乗らない‥。
こちらにもガイドラインがあるので見てみると、
スルピリド単剤、もしくは抗うつ薬との併用療法は「安易なドーパミン遮断薬の併用による薬剤性パーキンソン症候群、遅発性ジスキネジア、無月経、乳汁分泌などの内分泌系の有害作用や体重増加の問題は無視できない」との理由で本邦のうつ病治療アルゴリズムから削除された経緯は記しておきたい
‥と、わざわざ脚注がついている。
その半面、軽症の場合はどの薬剤でも治療効果の差はわずかなのでどの薬剤から開始しても良い、忍容性からはSSRIやSNRI、スルピリド辺りが候補になるような趣旨のことも書かれている。でも、2剤併用はそもそも控えるように書かれているし。
もうよくわからないが、とりあえずジェイゾロフトの減薬で眠気&怠さが落ち着けば、この薬の心配もしなくていい。
減薬効果が出ますようにー。